脱炭素化で実証研究へ EV車両使い課題探る 産学官4者が連携協定 沖永良部島

2023年08月30日

政治・行政

脱炭素に関する連携協定締結式に出席した(左から)今井力夫知名町長、前登志朗和泊町長、渡辺敬弘ヤマハ発動機新事業推進部長、佐宗章弘名古屋大学未来社会創造機構長=29日、知名町(同町提供)

二酸化炭素など温室効果ガス排出量の実質ゼロ(脱炭素社会)実現を目指す知名、和泊両町は29日、関連分野の知見や技術を持つ産学2者と「沖永良部島の持続可能なモビリティ社会の構築に向けた連携・協力に関する協定」を結んだ。主にEV(電動)バイク活用を通じて課題を把握・分析し、EV化の必要性や可能性を明らかにする実証研究を計画。持続可能な地域交通体系を検討する。

 

両町は2022年、温室効果ガス排出量削減の政府目標を踏まえた環境省「脱炭素先行地域」に選出された。小規模地域でエネルギー供給源と消費施設を持つネットワーク「マイクログリッド」構築や公用車のEV化などに取り組み、脱炭素化を推進している。

 

今回、両町と協定を結んだのは輸送機器メーカー大手のヤマハ発動機(本社静岡県)と名古屋大学(本部愛知県)。ヤマハ発動機はEVバイクの開発・実証に取り組み、名古屋大学は交通分野の調査や課題分析などで豊富な研究実績を持つ。

 

協定に基づいて取り組む実証研究については主に①EV車両の航続距離や充電時間・場所と使用する環境の課題把握②移動の目的や手段に関する課題を車種ごとに比較・分析し、EV化の優先順位を明確にする─などとし、これら諸課題の解決へより効果的な方策を探る。

 

協定締結式は29日、知名町の交流施設「entaku(エンタク)」であり、関係4者の代表らが出席。協定書に署名した。

 

今井力夫知名町長は「脱炭素社会を目指す上で、交通手段の問題は軽視できない。この協定を通じて一定の成果を上げたい」、前登志朗和泊町長は「今回は沖永良部島をモデルとした実証研究。関係4者の強みを生かし、効果を地域に還元したい」とあいさつした。

 

ヤマハ発動機新事業推進部の渡辺敬弘部長は「製品活用の在り方は社内で見極められない部分も多い。一層の連携を図りたい」、名古屋大学未来社会創造機構の佐宗章弘機構長は「研究成果を社会に役立てるのも大学の存在意義」と語り、気持ちを新たにした。